政治

戦後80年の憲法記念日で各党が声明 改正めぐり意見分かれる「一日も早く」「壊すな・守れ」「二元論に拘泥せず」

nipponhoudou

5月3日、戦後80年目の憲法記念日を迎え、各政党が声明を発表した。日本国憲法は終戦から2年後の1947年5月3日に施行され、今年は78回目の記念日となる。各党は日本国憲法の3原則である「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」については高く評価し堅持する必要性を示した一方で、改正をめぐる意見は大きくそして複雑に分かれた。

自民党は「憲法は国のあるべき姿を示す国家の基本法であり、常に国民生活の傍らにあるべきものだ。社会環境や国民意識の変化に基づき必要な改正を行っていかなければならない」として、自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消・地方公共団体、教育充実の4項目を挙げ「国会での議論と国民の理解を車の両輪としながら、早期の改正実現に全力で取り組む」とした。

公明党は、政治とカネの問題で国民の政治への信頼という国民主権の前提が揺らぎ、冤罪事件や夫婦同姓制度など基本的人権に関わる事案が生じ、トランプ関税やロシアによるウクライナ侵略で平和主義が揺らいでいることを指摘し、「多くの憲法論議があることを踏まえ、公明党は国民の声を聞きながら真摯に国会での憲法論議に臨んでいく」として、改正への賛否は明確にしなかった。

立憲民主党は野田代表の談話として、「現在でも世界では紛争が絶えず、憲法が理想とした国際社会は実現されていない」としたほか、「SNSの言論空間は差別や分断をあおり、民主主義の脅威にもなっている」と指摘して、その解決が政治の役割だとした。その上で「立憲民主党は権力の行使を抑制し、人権保障を確実にするという立憲主義の精神にのっとった政治、まっとうな政治を創っていきます」とした。

日本維新の会は吉村代表の談話として、「国・都道府県・基礎自治体の役割を明確化し、より機動的に危機対応が行える体制へとアップデートすることは急務だ」として、教育無償化・統治機構改革・憲法裁判所設置・自衛隊明記・緊急事態条項創設の5つの改正項目をあげ、「時代の要請に応える新しい憲法を一日も早く国民の手に取り戻すため、すべての同志と力を合わせ邁進する」とした。

国民民主党は玉木代表の談話として、人権保障のアップデート、地方自治の発展・強化、統治のあり方の再構築、三大原理の確認・宣言と国家目標規定の創設という憲法改正の方向性をあげ、「変化する社会環境や新たな課題に対応するため、時代に即した憲法改正を目指す」とした。その上で護憲と改憲の二元論に拘泥しない姿勢を示し、「国民議論をリードしていく」とした。

共産党は、田村委員長の談話として、自公政権のもとでの防衛力強化の取り組みについて「事実上、自衛隊を米軍の指揮統制下に組み込む体制づくりまで進められている。憲法の平和原則を根底から覆す暴挙を断じて許すことはできない」として、「平和も暮らしも脅かす戦争国家づくりを止めるために『憲法壊すな、憲法守れ』の国民的な共同を広げる」とした。

れいわ新選組は、国会の憲法審査会の議論について「声だけは大きい改憲派たちにより、今の憲法を早く変えることの議論ばかりなされている」としたほか、緊急事態に国会議員の任期を延長する改憲論は「既にオワコンだ」として、「国民生活を底上げして、失われた30年を取り戻し、ジャパン・アズ・ナンバーワンを、日本を再興するための最後のとりでが日本国憲法」だと訴えた。

(太字は筆者による。)

ネットの声

ヤフコメ
ヤフコメ

『憲法壊すな、憲法守れ』という主張は、ちょっと違うかなと思います。改正の規定がある以上、改正は「壊す」ことにも「守らない」ことにもつながらないと考えます。 私は改憲については、国民投票をおこなうべき時期に来ている、と感じています。特に9条について言うと、憲法学者や大学の教授でさえ意見や解釈が分かれる事がある現状ですよね。細かい点については、一般の人は子供達に内容を聞かれても正しく説明できないですよ。分かりやすく変更しても良いのでは。当然、内容は慎重に討議する必要があるとは思います。

ヤフコメ
ヤフコメ

憲法に限らず法律の体系は末端では現実に即した解釈や運用がされていると思う。その頂上をいじるとなると、今までいじらずに済んだことへの理由付けや運用方法についての説明が必要になる。 今まで改正が行われなかったこと自体が既に政治的な意味合いを持っていて、改正するとなるとその対象や内容についても同様に新たな政治的意味を持つことになる。 目先の不都合な部分だけ対象にするのも一考ではあるが、膨大な量で時間も経た憲法について今後どのようなスタンスで改正するのかの考え方が先ず問われる。

筆者の考え

憲法改正は急務。各政党、選択的夫婦別姓や環境問題の重要であるが小さな問題ではなく、憲法改正についての議論を活発にしてほしい。

改正に賛成の人も、反対の人も、国民が意思表示できる場が国民投票である。
賛成でも反対でも、国民投票自体には賛成をすべきであり、変わることを阻止したいならば、国民投票で反対票を投じるべきなのだ。

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